バトラーButler

2015.3.20

伊豆の歴史とその物語

伊豆と言えば、豊かな自然、美味しい食材、そして歴史の名所です。
アルカナ周辺だけでも、源範頼、頼家が幽閉された修善寺、頼家の冥福を祈って北条政子が建立した指月殿(伊豆最古の木造建築)などなど、興味深い名所があちこちに点在しています。

突然ですが、私は大河ドラマのファンでして、特に「篤姫」に夢中でした。
女の道は1本道にございます・・・。

その「篤姫」の撮影に使われた江戸時代の代官屋敷が、ここ伊豆にある!ということで
これは行かねば、と行ってまいりました。
伊豆箱根鉄道「韮山」駅から約2キロほど離れた場所にある、江川邸でございます。
韮山代官 江川英龍(坦庵)の邸宅であり、国の重要文化財です。
慶長5年(1600年)頃に建てられたと言われています。

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敷地内に足を踏み入れ、まず立派な門構えに圧倒されます。
この正門と正面玄関が「篤姫」の撮影に使われました。
正門の手前には芝生が敷かれた広場がありました。

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こちらは「升形」と呼ばれており、出陣前の兵士が整列するための場所だったそうです。

そしてびっくり!
みなさまお馴染み「気をつけ」「前へ習え」という言葉は、オランダの軍事訓練で使用されていた号令を江川英龍が日本に広めたものだったのです。

それだけではありません。
日本で初めてパンを作ったために「パン祖」と呼ばれていたり、日本で唯一現存している韮山反射炉(溶鉱炉)を作って銃砲製造を行ったり、東京湾のお台場を設計したり、天然痘の予防接種をいち早く領土の農民におこなったり。
いやはや、日本の発展に欠かせない大人物です。

お屋敷の中に入ると、まず目に入るのが高い高い天井です。

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ビルの3階建ての高さがあります。
天井の一番高いところには日蓮上人直筆の「火伏せの護符」が収められた箱があり、このおかげで江川邸は今まで一度も火災に遭ったことがないそうです。
うっとりしてしまうほど美しい造りの天井ですね。

そして忘れてはいけません、「パン祖」。
土間の端には、日本で初めてパンが焼かれた石窯の一部が保管されています。

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当時書かれたパンのレシピもありました。
兵糧として作られたので堅パンだったようですが、当時の人達の悪戦苦闘のおかげで、今、
ふわふわのパンが食べられていると思うと感謝の念が湧いてきます。

こんなにたくさんの偉業をなしとげた人物は、なんだか自分とは違う星に生まれたような、
なんて黄昏ていた時、ある文章に目が止まりました。
江川英龍は、母親の遺言として「忍」の一文字を贈られ、生涯ずっと懐にしまっていたそうです。
「はやる気持ちをおさえ、常に冷静な気持ちを保つように」

激動の幕末、数々の偉業をなしとげさせたのは「忍」の一文字。
400年前も今も成功の秘訣は変わらない。

偉大な先人からのエールを胸に、江川邸を後にしたのでした。

Butler Y.I

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