キュイジニエCuisinier

2016.2.15

連載 食いしん坊倶楽部 その11 三島甘藷

女子ってどうして芋が好きなのでしょうか? 食いしん坊YMです。
三島市佐野には時を経て復活を遂げた食材があります。三島甘藷をご存じでしょうか?
昭和初期、日本の台所であった関西の市場において日本一の評価を得ていたサツマイモです。三島甘藷は、「山北印」と言われ、全国の相場を左右するほどの存在だったそうです。”山”は箱根を意味し、”北”は佐野地区が北上農協の管轄だったことに由来しています。しかし、いつしか生産量も減少し、忘れかけた存在となっていました。それが近年になり、JA三島函南、生産者、三島市民の努力により、再び注目を集める食材となりました。
三島市佐野は箱根の西側に位置する山裾で、箱根西麓と呼ばれる地域に含まれます。三島甘藷はこの「箱根西麓」というキーワードをなくして語ることはできません。かつて東海道の宿場として栄えた三島宿から箱根峠へと向かう街道では、往来する人々が多く、商売事が成り立っていました。しかし、明治時代に入ると、鉄道開通に伴い人々の往来が減ったため、箱根西麓の傾斜地の開墾が本格化し、農地へと姿を変えていきました。そして、箱根西麓の人々の努力と、育った野菜の味と品質の良さから全国的にも高い評価を得たそうで、今でもその伝統は受け継がれ、「箱根西麓三島野菜」というブランドになり、静岡県の食の財産のひとつでもあります。

 

ではなぜ「箱根西麓」は優れた農地になりえたのでしょうか。私の調査によると特筆すべき点が3つあります。
「保肥力」…土にどれだけ栄養分が蓄積されるかという事ですが、富士、箱根の火山灰からなる関東ロームで通常の2倍の保肥力があるとされています。それに加え、歴史に裏付けされた土作りが行われています。
「水はけ」…山の斜面を利用した畑であることと、火山灰が3メートル積もったその下に岩盤があり、雨水の程良い水はけになるそうです。
「寒暖の差」…日照条件の優れた海抜50m〜500mと標高のある土地での露地栽培のため、昼夜の温度差が大きくなり、野菜を美味しく育てるとされます。

 

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さて、三島甘藷に話を戻しますが、一般的にサツマイモの旬は10月から2月ごろと認識されています。三島では11月に甘藷祭りも催されます。しかしながら食いしん坊的視点からいうと、旬も終わり間際の2月が最高のサツマイモだと断言できます。10 、11月に成熟したサツマイモを収穫した後、甘くてうまいサツマイモを食すためには追熟が必要不可欠だからです。最低1ヵ月は温度・湿度・通気を管理しデンプンが糖に変わるのを待つのです。三島甘藷にいたっては、糖度14度といいますから、フルーツ並です。ましてや2月ともなれば甘藷の熟成度も高く、また、厳しい寒さも私たちの味覚に大きく影響与えてくれるのです。
今回、佐野地区を調査していると、農家さんの直売所を発見︎。まさに箱根西麓三島野菜が並ぶ中に、5種類の甘藷が置かれていました。その甘藷は収穫後、畑に穴を掘り、その中に埋めて追熟されたものでした。もちろん全種類を購入。後日、濡れ新聞に包み、アルミを巻いて、ポイ︎!

 

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焼き芋にして食べ比べです。これはうまいに違いありません。
手前から、シルクスイート、安納芋、紅あずま、金時、紅はるか。
甘味の強弱、香りの違い、ホクホク、しっとり、ねっとり… それぞれの特徴が楽しめます。
それから忘れてならないのが、名物にもなっている、三島甘藷スイーツでしょう。最近、多くの店で商品開発がされており、市内で様々なスイーツを買うことができます。私も2時間程度でほら!こんなに!

 

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皆さんも好みのスイーツを探してみてはいかがですか?
三島甘藷を甘く見てはいけませんよ。

 
食いしん坊YM

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