キュイジニエCuisinier
2016.4.12

連載、食いしん坊倶楽部 その12 モチガツオ
Spring has come.
初鰹を食べましょう。食いしん坊YMです。
今回は県下最南端の港、御前崎に参上いたしました。
静岡県はカツオの水揚げ量全国一を誇りますが、中でも御前崎は、通年生ガツオが水揚げされる有名な港で、カツオの回遊ルートが非常に近いという地の利を持った恵まれた場所です。初鰹が揚がる4月から初夏ごろには漁が最盛期となり、「モチガツオ」なるものが登場します。
今回の私のお目当てはその「モチガツオ」です。
「モチガツオ」は遠州灘にあって、数時間以内に帰港できる漁場で、一本釣りにされたカツオです。
一般的なカツオとは一線を画するモチっとした食感、身質の状態であるものを指します。
身が締まって硬くならないように極度に冷やさなくても鮮度を保って、且つ死後硬直が始まる前に食せねばならないので、それが時間的に可能な場所でしか味わえない希少なカツオです。
つまり、御前崎のような優秀なカツオ漁が行われる港を保有する土地である必要があるのです。
私も以前モチガツオを食した時に、鮮やかな赤身と臭みのなさ、そしてモチモチねっとりとした食感の奥に甘みを感じ、そのうまさに感動した覚えがあります。
結果から言ってしまうと、今回私は残念なことに、モチガツオにはありつけませんでした。
食い意地が強い私は、時期的にややフライングしてしまったというのが原因ですね…
季節や天候、潮の流れなど条件が揃わないと出会えない、幻と言われる所以です。
気を紛らわせようと、歴史ある古い御前崎の灯台に登り、雄大な海原を前にした私ですが、なぶら(カツオの群れを指す土地の言葉)は何処にいるのかと思い馳せるのみ…
ここは御前崎、私は食いしん坊。モチガツオの夢やぶれども、新鮮な初鰹を食して帰ろう︎
海岸沿いにある料理屋さんをはしごし、初鰹刺身定食を食しました。やっぱり御前崎のカツオは鮮度が良く、うまい。
腹も膨れたところで、近いうちにリベンジを果たす決意をしたのでした。
つづく…
食いしん坊YM