キュイジニエCuisinier

2015.11.10

食いしん坊倶楽部 その⑩ 桜エビ

日本人って本当に海老が好きですよね。わたしもです、食いしん坊YMです。

静岡には静岡ならではという素晴らしい風物詩がいくつもあります。
富士川河川敷に干された桜エビもそのひとつです。桜エビ漁のある春と秋になると、ニュースでもしばしば取り上げられ、映像で見る方も少なくないと思いますが、私はこの風景を是非生で見ておきたいと、富士川へ行って参りました。
実は春にも訪れたのですが、桜エビ不漁の為、思い描くような光景には出会えず、今回秋漁が始まったと聞いての再訪です。

勿論、旬の桜エビを胃に収めようという目論みである事は皆さんのご察しの通りですが….

午前10時、河川敷に到着すると澄み渡る秋空、富士の高嶺にピンクの絨毯が広がっていました。
海の宝石とも例えられるサクラエビが一面に天日干しされているのです。

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ふるいのような物でエビを蒔く人、熊手でエビを広げる人、網をたぐってエビを返す人、カメラ片手に見物する人、つまみ食いを我慢する私….

エビが乾燥し旨味が凝縮するまで、秋は2、3日かけてまんべんなく日光に当てる手作業が繰り返されます。うまいものを作るにはやはり手間暇がかかります。
このサクラエビ絨毯を目に焼き付けたところで、さあおまちかねといきたいところですが、少しお勉強‥

まず始まりは1894年にアジ網引き漁に偶然桜エビがかかった事で漁法が発見され、それを契機に由比の漁師が伝習して、桜エビ漁の基礎が築かれたそうです。桜エビは東京湾から駿河湾にかけて生息していますが、そんな歴史からか漁が行われるは駿河湾のみです。
さらに水揚げが許可されているのも由比港と大井川港のみ、つまり静岡県が国内桜エビ漁の100%を占めているのです。
そして、資源保護の観点からも徹底した漁獲調整や、漁船数や漁期が厳しく制限されています。 3月下旬~ 6月上旬の春漁、 10月下旬~12月までの秋漁、 1年のうちでもその時だけが、フレッシュな本来の桜エビを味わえるチャンスです。一味違います。うまいに決まってます。

私が今回調査に赴いた静岡市清水区由比は東海道十六番目の元宿場町として今もなお当時の面影を残し、歴史を感じる街並ですが、なんとその目抜き通りは桜エビ通りと命名され、桜エビ加工場や商店、桜エビ料理を堪能できる飲食店が立ち並んでいます。さすがは水揚げ8割の街、桜エビの本拠地と化しています。

まずは王道のかき揚げからでしょう。サクッとした食感に、ふわりと香るこうばしさ、やみつき間違いなし。

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もちろん生桜エビも。ぷちっと広がる旨味と甘み。

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釜揚げもいい。沖漬けも捨てがたい。

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炊き込み飯も忘れるべからず。

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そして皆さんにオススメしておきたいのは「沖あがり」です。

これはもともと漁師めしで、漁を終え、沖から戻ってきた漁師が冷えた体を温め、疲れを癒した鍋料理だそうです。スキヤキを思わせる甘めのスープに桜エビがどっさり入っています。メニューにはなかったのですが、お店の方にお願いすると、桜エビの一番贅沢な食べ方だと言って、出してくださいました。初めて食べる鍋。郷土の味。桜エビ万歳。

桜エビづくしで大変勉強になり、腹も膨れたところで、漁港に行ってみます。夕方から船が一斉に出港していきます。桜エビ漁は夜間に行われます。日中は水深200m~500mにいる桜エビは暗くなると30m~60mに浮上してくるからだそうです。

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漁師の皆さん、美味しい桜エビをありがとうございます。行ってらっしゃーい。

食いしん坊YM

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